今回の改定により、不成の規定を一部変更しました。江戸時代の中将棋指南抄による解釈は以下の通りです。
①.駒が不成で進んだ場合、一度敵の陣地より外に出て、そこから入りなおしたときに成ることが出来る。
②.歩兵はその性能上、後退できないので、最後列(敵陣の一番奥の段)まで進んだ場合にのみ成ることが許される。
もちろん、敵の駒を取った場合はその時点でなりかえることが許される。
歩兵の救済規定については、江戸期の『中将棋指南抄』や、『中将棋絹篩』、明治42年の『将棊定跡講義』にも記載されているルールです。現在、他の中将棋団体によってはこの規定が削除されている所もありますが、日本中将棋連盟では引き続きこのルールを採用することといたしました。
仲人についても、これまでは歩兵と同様のルールを採用してまいりました。その根拠は、岡崎史明七段が編纂した『中将棋の指し方』というルールブックに基づいています。当時はまだ京阪神地域でわずかに中将棋が指されていたこともあり、江戸期以降に京阪神で中将棋が愛好されてきたなかで、仲人もそのルールが適用されるようになったのではないかと考えられます。
いわば、岡崎ルールは江戸期の曖昧なルールブックを改良したものとして、昭和の時代に策定されたルールブックでもあると思われます。ただ、現実的な局面において仲人は後進ができる駒であると言うことと、このような事例は成り忘れ程度にすぎないと考えられますので、この点に関しては古代のルールに準ずる形を今回とりました。
しかしこれでも一枚だけ不明な駒が残っています。「香車」に関しての不成規定です。
この駒は、れっきとした「走り駒」ですので、不成侵入後は敵陣から退かなくては成りませんが、性能上後退の出来ない駒ですのでそれが出来ません。
不成で進める意味は、その配置上の問題からしても、全く無意味としか考えられません。そのため、これまで自明の理として、だれも明文化をしてこなかったのではないだろうかと考えられています。
そこに、中将棋のソフト上の問題から新たにそういう場面も想定しての規定を設けるのだとしたら、ここは会長の個人的意見として、歩兵と同様の規定をあてることでいいのではないかと考えています。(現時点では通信対局上でのみ、救済措置としてこのルールを適用することといたしました。)